胆石症(胆石・胆砂・胆泥)と漢方

「食後のもたれ感がひどい」
「背中・みぞおちの痛みが辛い」
「吐き気やゲップが出ることが多い」

激しい痛みを伴うことがある胆石。
胆石の原因は消化を助ける役割の胆汁の流れが滞ることです。
”痛み”があることは一般に知られた症状ですが実はそれ以外にもさまざまな消化器不良の症状を引き起こします。
日本人では10人に1人は症状の有無はともかく胆石を持っているといわれています。

目次

胆石ができる胆のうの役割とは?

胆のうは肝臓が作る胆汁を蓄え、それを濃縮します。
蓄えられた胆汁は食物を食べると消化管に分泌され、胃酸を中和し脂質の消化を助ける役割があります。

胆石症とはどんな疾患?

胆のうで濃縮された胆汁中の成分であるコレステロールやビリルビンが何らかの原因で結晶となったものが胆石です。
胆石の細かいものを胆砂や胆泥と呼びます。
もっとも多いものは胆のうにできる胆のう結石、肝内にできる肝内結石、胆管内にできる胆管結石などがあります。

胆石症の症状はまず突然の急激な痛みです。
痛みはみぞおちや右上腹部(あばらのあたり)に現れることが多く、人によって放散痛として右肩や右背部、上腹部全体が痛むこともあります。
過労や脂質の多い食事のあとに現れます。

病院でエコー(超音波)や血液検査で胆石(それより細かい胆砂や胆泥を含め)の診断がされますが、まれに臓器の死角に入り発見が遅れることがあります。

石により胆汁の流れが阻害されて閉塞性の黄疸が現れることがあります。
黄疸とは本来胆汁に排泄されるはずのビリルビンが体内の血中にとどまることで体の各所が黄色く変色し、かゆみが発生することもあります。
変色が特に現れやすい部位は手のひら、足のうら、白目、爪、舌につく苔、尿です。

胆石症は激しい痛み意外にも消化器に関する不調を引き起こします。
以下の症状にも注意しましょう。

  • 最近、食後に胃もたれする
  • みぞおちや脇腹に違和感がある
  • おなかを下す、便秘になるなど、便通の不調が増えた

痛みがないと胃腸炎など、他の病気と誤診されてしまうこともありますので注意が必要です。

胆石がおこりやすい人とは?

胆石がおこりやすい人は5Fといわれています。
5Fとは・・・

  • Forty (40代以降に多く見られる)
  • Female (3:2の割合で女性の方が男性より多く見られる)
  • Fatty (肥満や脂質異常症のある方に多い)
  • Fair (白人に多い)
  • Fecund (子どもを多く出産した方に多い)

コレステロールの代謝同様、中年以降の女性はホルモンバランスの影響で脂質代謝が乱れ胆石がおこりやすくなります。
肥満や脂質代謝異常症などの方も高リスク群だと言われています。

しかし、臨床経験の多いお医者様の中にはこの5Fのリスクよりも「食事と食事の時間が長い人」に胆石は発生しやすいのではないか、という方もいらっしゃいます。
胆汁は食事をとることで胆のうが動いて排泄されるものですので、欠食時間が長ければその分よどみができ、胆石ができることもあります。

胆石が悪化すると?

胆石があっても痛みが発生するケースは実は20%程度だとか。
痛みがなければ手術などはせず、そのまま経過をみることも多くあります。
しかし、胆石があることで胆のうや肝臓に炎症がおき、他の疾患を合併することがあります。

  • 胆道感染症
  • 胆のう炎
  • 胆のう癌
  • 肝硬変

手術などで石を取り除かない場合は定期的な検査が必要になります。
特に、胆のう癌は予後も悪いので注意しましょう。
便秘が強い方は重症化しやすいという報告もあります。

自分でできる胆石対策

消化器官が順調に働くことが大切ですので、よくかんで食べる、夜遅い時間の飲食や冷たい飲食を避ける、など気をつけましょう。

欠食時間が長いと発症しやすくなる、という報告がありますので、規則正しく1日3食とるようにしましょう。

脂質が多く含まれる食事は胆石の痛みや胃部不快感を悪化させますので避け、緑黄色野菜は炎症を鎮めるので積極的にとりましょう。

脂質代謝が改善しますので適度な運動をしましょう。
運動はストレス解消に加え、消化機能の働きを調整する自律神経を整えてくれます。
あまり激しい運動よりヨガやウォーキングなどゆっくりした呼吸で行うものが良いでしょう。

漢方の胆石治療

まず、炎症を鎮める”柴胡””茵蔯蒿”が入る漢方薬を使用します。
茵蔯蒿はとくに黄疸がでている方には効果的です。

胃腸の働きを整える”枳実”“陳皮”、余分な水分を排出する“茯苓”“白朮”など胃もたれや下痢などの症状が強いときに用います。

痛みが強ければ”芍薬”でこわばった筋を緩めます。

民間療法といわれる“裏白樫””金銭草”もお茶のように服用でき、組み合わせると薬の効果をあげてくれます。

胆石のよくある質問

胆石は痛みがなければ治療をしなくてもいいですか?

激しい痛みがなければ手術までは・・・とお医者様も患者様も思う方が多いのではないでしょうか。

先にお伝えしたように、胆石があることで胆のう炎、胆のう癌の発生リスクは上がりますので、定期的な検査は大切です。
特に便秘がある方は重篤な合併症が現れることがありますので注意が必要です。
また、痛みだけではなく胃もたれや下痢など胃腸症状があるようならQOL(生活の質)が上がりますので、漢方薬で治療をされることをおすすめします。

漢方薬を飲むだけで胆石を排石することができますか?

必ずとはいえませんが、手術が必要といわれていた方が漢方を服用することで石が小さくなっていた、もしくは自然排石されていたということはよくあります。

完全に排石されるには2週間から数ヶ月、長い場合は2年ほどかかりますが、胃腸症状は早い方では一ヶ月ほどで効果を実感できることもあります。

お一人では解決が難しいと思う方、ご不明な点がある方はぜひご相談ください!

(効能効果には個人差がございます。当内容は同等の効果を保証するものではございません。ご了承ください。)

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