間質性膀胱炎と漢方薬

写真AC・FineGraphicsさんの作品

「トイレの回数が多くて出かけるのが不安」
「痛みがひどくてなんとかならないか」
「病院の薬では改善しない・・・」
「症状も辛いけど、手術は避けたい」

辛い痛みと頻尿を伴う膀胱炎。
一般的な膀胱炎は菌感染が原因ですが、中には菌が見つからない”間質性膀胱炎”の方もいらっしゃいます。
間質性膀胱炎では決定的な治療法がなく、慢性的な症状に多くの方が悩まされます。

目次

間質性膀胱炎とは?

膀胱は柔らかく伸縮性のある粘膜でできており、腎臓で作った尿を一時的に貯蔵する臓器です。
その膀胱粘膜が炎症を起こし、頻尿・排尿時痛・尿の濁りなどの症状が現れるものが膀胱炎です。
最も一般的な膀胱炎は急性細菌性膀胱炎で、尿道から細菌が入って起きる病気です。
これに対し、「菌の感染」とは直接関係ないものを間質性膀胱炎といいます。

間質性膀胱炎で見られる症状は一般的な膀胱炎と大きく違いはありません。

  • 尿がたまってくると痛みや不快感がます
  • 排尿後は痛みや不快感が軽くなる
  • 尿の出はじめに時間がかかる
  • 排尿の勢いがあまりない
  • 月経前に膀胱周辺の痛みが増す
  • 便秘になると、膀胱や下腹部が痛む
  • ある種の飲食物を摂ったあとに症状が悪化する

以上に加えて、尿検査で細菌の存在が確認されず、1~2週間抗菌薬による治療を受けてもまったく効果がない場合は、間質性膀胱炎と診断されます。

間質性膀胱炎はの患者数は日本では約4500人ほどとされています。
男女比は1:5.6と、女性、特に中年以降の女性に多いです。

間質性膀胱炎の種類

膀胱粘膜に赤い瘢痕が見られる“ハンナ病変”を有する”ハンナ型”と、ハンナ病変を伴わない”非ハンナ型”があります。
ハンナ型は間質性膀胱炎の45%程度の発症率です。
ハンナ型間質性膀胱炎は根本的な治療法はなく、難病に指定されています。
症状が悪化すると1時間に何度もトイレに行く、膀胱だけでなく下腹部全体に強い痛みが生じるなど生活に大きな支障を来します。

悪化することによって命に別状が出ることがありませんが、炎症が進むと膀胱が硬く小さくなり、膀胱の摘出が必要となる場合もあります。

間質性膀胱炎の原因は?

膀胱の粘膜を覆っている細胞や免疫システムの異常が疑われています。
しかし、はっきりとした原因は見つかっていません。

多くの人が緊張するとトイレに行きたくなる!という経験をしたことがあるのではないでしょうか。
膀胱は精神的な影響を受けやすい臓器の一つでもあるため、ストレスなど精神症状も原因の一つではないかと言われています。

また、間質性膀胱炎は遺伝することはありません。

間質性膀胱炎と間違いやすい疾患

間質性膀胱炎と間違いやすい症状に”心因性頻尿”があります。

心因性頻尿は精神的な不安やストレスが原因となって起きる頻尿で、リラックスしている時にはトイレが気にならないことが特徴です。
睡眠中は尿意で目が覚めることはないか、起きても1回程度で、夜中や起床時の1回排尿量は十分な量です。

それに対し、間質性膀胱炎の典型的な症状は激しい頻尿と痛みです。
心因性頻尿との大きな違いは症状の出現が日中・夜間を問わないことです。

排尿日誌をつければ違いは一目瞭然です。
排尿日誌に書き込む内容

  • トイレに行った時間と排尿の量
  • 水分を摂った時間と量
  • 尿もれがある場合は、その時間
  • 尿漏れが起きた原因(咳、立ち上がったときなど)
  • 可能であればもれた量

間質性膀胱炎の治療法

症状を和らげる方法として鎮痛剤や神経の興奮を抑える薬を使用することがあります。
また、内視鏡を使って病変を焼けばかなり症状は改善します。
しかし、多くの方で再発することが多く、完治は難しいと言われています。
炎症を繰り返すと膀胱壁は徐々に弾力を失い、硬く小さくなっていきます。
場合によっては膀胱を摘出しないとならないケースもありますが、膀胱癌などと異なり命に別状はありません。

漢方の間質性膀胱炎治療

大きく分けて炎症の鎮めること、自律神経の乱れを調整することが治療の柱となります。

膀胱粘膜の炎症を鎮めるために「車前子」「滑石」「山梔子」が効果的です。
血尿がある場合は「阿膠」「地黄」が止血し、粘膜を正常にします。
痛みがひどいときは巡りをよくする血流改善薬を組み合わせたりします。

また、膀胱は自律神経の働き、精神ストレスに大きく影響を受けます。
気の巡りを改善する「厚朴」「蘇葉」、過剰な興奮を静める「蓮子」「竜骨」「牡蠣」などを組み合わせていきます。

自分でできる間質性膀胱炎対策

排尿日誌をつけることで、悪化する原因が特定しやすくなります。

疲れやストレスが原因なら適度な休息とストレス解消を探しましょう。
呼吸を整えるヨガやストレッチは自律神経を整えてストレスによるダメージを和らげてくれます。
汗をかかない人は軽い運動、ぬるめのお湯にゆっくり入って少し発汗することで巡りをよくすることができます。

刺激の強い食べ物、唐辛子、わさび、マスタードは粘膜炎症を悪化させますので避けましょう。

間質性膀胱炎のよくある質問

痛みが辛いのですが・・・

間質性膀胱炎で辛い症状はまず痛み、次に頻尿と言われています。痛みが強い方にはまず痛みを中心に治療方針を立て、平行して炎症の改善や自律神経のバランスを整えるお薬を状態によって組み合わせます。

難治性のハンナ型と診断されましたが、漢方で治りますか?

ハンナ型の方でも漢方を服用することで症状が軽くなり、日常生活に差し支えがなくなったとおっしゃる方は多くいらっしゃいます。ぜひ一度ご相談ください。

お一人では解決が難しいと思う方、ご不明な点がある方はぜひご相談ください!

(効能効果には個人差がございます。当内容は同等の効果を保証するものではございません。ご了承ください。)

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