月経困難症(生理痛)と漢方薬
「生理痛がひどくて、学校を休んでしまうことも・・・」
「経血が多くて・・・漏れないか心配で外出が怖い」
「ピルは抵抗があってできたら飲みたくない」
「お腹の痛みだけでなく、ふらつきや頭痛、吐き気がする」
月に一回の生理。赤ちゃんを授かるための大切な体の働きですが、辛い思いで過ごす方は本当にたくさんいらっしゃいます。痛み止めでやりすごすのも一つの方法ですが、根本的な治療に踏み出してみませんか。
月経困難症とは
「生理は順調ですか?」とお尋ねすると「痛み止め飲んでいるので大丈夫です」というお返事、とても多く聞きます。
本来、生理はそこまで苦痛を伴わないものです。生理のたびに薬を飲むほどの強い痛みがでる状態を「月経困難症」、れっきとした疾患として現代の医学では扱います。
薬を飲んでやり過ごしている人も多いですが、月経困難症は子宮やその周辺の組織の異常で起こるものなので、月経困難症を治療せず我慢していると日常生活に支障を来すだけではなく、背景に潜んでいる別の病気を見逃してしまったり、不妊につながってしまったりする可能性があります。
月経困難症で苦しむ人は推定800万人以上、そのうち治療を行っているのは10%程度と言われています。
生理痛は体の異常を知らせるサインです。鎮痛剤で痛みを緩和しても根本的な治療になりません。毎月症状があるということは、背景に何らかの病気が潜んでいる可能性があります。長いこと生理のたびに強い痛みなどの症状がある場合は、できるだけ早く専門家に相談するようにしましょう。
月経困難症の症状
月経困難症の主な症状は、下腹部の強い痛みや腰痛です。そのほか、おなかの張り、吐き気、頭痛、食欲不振、下痢、イライラ、抑うつなどの症状が起こることもあります。
月経困難症には10代から20代前半の女性に多い機能性月経困難症と20代後半から多くなる器質性月経困難症があります。
機能性月経困難症とは
機能性月経困難症は、病気が原因ではなく、子宮の入り口が狭いことや、子宮内膜で作られるプロスタグランジンという物質の分泌が増えて、子宮や血管、腸管が過剰に収縮することによって、痛みなどの症状が引き起こされるタイプです。生理痛が起きるのは主に生理期間の1日目から2日目で、多くの場合、けいれん性の痛みで周期性があります。また10代後半から20代前半に多く、一般的に身体の成熟とともに症状は治まるとされていますが、生活に支障があれば治療が必要です。
器質性月経困難症とは
器質性月経困難症は、子宮や卵巣の病気が原因で起こり、20代後半以降に多く、加齢とともに増加します。生理痛が持続性で、月経期間中に痛みがずっとあることも多くみられます。
器質性月経困難症の原因で多いとされている病気は、子宮内膜症や子宮腺筋症、子宮筋腫です。自然治癒することはなく、治療しないで我慢していると、原因となっている病気が進行してしまうため、原因に合った治療が必要になります。
出産経験がなく、20代後半まで鎮痛剤で痛みを我慢していると、気づかないうちに子宮筋腫や内膜症が進行し、将来不妊の可能性もでてきます。
漢方の月経困難症治療
月経は新しい命を育むための大切な体の働きです。次の妊娠の機会のために古い内膜は血液として外に排出してリセットすることが大切になります。
生理直前から生理期前半の痛みは血液の滞り(瘀血)が原因と捉えます。
血の巡りを改善する桃仁、牡丹皮、紅花などの生薬を用います。
筋腫や内膜症を漢方では血液の塊と考えます。
塊を軟らかくし、小さくするために鼈甲や薏苡仁などが効果的です。
生理周期後半に不調が出る方は血液不足です。
血液の質を改善する地黄や当帰などが有効です。
生理前の不調、イライラ感や頭痛などがある場合は血流の改善に加えて気の流れを良くする薬を使用します。
気の流れを改善するために薄荷や厚朴などを用います。
自分で出来る月経困難症対策
血流の悪化を防ぐために必ず守っていただきたいことは、体を冷やさないことです。
何気なく冷たい飲み物を飲む習慣がありませんか?
サラダやお刺身も胃腸を冷やします。
冷たい飲み物、食べ物をいただいたときは必ず暖かいお茶やスープなどでお腹を冷えたままにしないようにしましょう。
お風呂もぬるめの温度でじっくりつかりましょう。
足湯や半身浴もOKです。
下半身を重点的にストレッチをすることや、自転車やウォーキングなど体を動かすこともおすすめです。
加えて、経血量が多い方や月経周期の後半に不調が出る方は軽い貧血の傾向がでやすくなります。
赤身のお肉お魚、色の濃い野菜をしっかりとりましょう。
生理前に不調が出やすい方は緊張が強い傾向があります。
ヨガやストレッチなど深い呼吸で行う運動がおすすめです。
また、良い香りをかぐことで緊張が和らぎます。
すっきりとしたミント系や柑橘系の香りがおすすめです。
月経困難症で悩む方へ
生理痛があるのは当たり前、と感じている女性が多いことに驚きます。
もちろん痛み止めを飲むことは悪いことではありませんが、薬でごまかして症状を悪化させてしまうケースに出会い、とても悲しく感じます。
本来生理は自然な体の働きの一つ。
重い生理痛はその働きに何か問題があると言うことです。
ご自分の体の声に耳を傾けて下さい。
月経困難症の治療によって、生理痛だけでなくニキビが減った、頭痛がなくなった、お腹が少しへこんだなどの嬉しい声も聞きます。
大切な毎日を笑顔で過ごせるよう、一緒に治療に取り組んでみませんか。
お一人では解決が難しいと思う方、ご不明な点がある方はぜひご相談ください!
(効能効果には個人差がございます。当内容は同等の効果を保証するものではございません。ご了承ください。)