円形脱毛症と漢方薬
「気がつかないうちに毛が抜けていた!」
「ストレスが原因というけど、心療内科?」
「どんどん広がっていく気がする・・・」
「人に気づかれないか心配」
「一度治ったのに再発した・・・」
円形脱毛症は直接的な原因がまだ完全に解明されていないため治療が難しく、治っても再発する例も多く見られます。
また、周囲に打ち明けられず「そのうち治るだろう」と放置してしまい、悪化させる例も多く、命に関わらないものの生活に大きな影響を与えます。
円形脱毛症とは
毛が生えた部位に境界がはっきりした円形・楕円形の脱毛部位が現れる円形脱毛症。
10円玉大に現れることが多いので「10円ハゲ」などと呼ばれますが、進行すると頭全体に広がったり、眉毛や睫毛、体毛にも及びます。
円形脱毛症は若干ですが男性より女性の方が発症率が高く、また30代以前の若年層が8割を占め、その中で15才以下の発症率は2割にもなります。
円形脱毛症の原因
自己免疫疾患
以前はストレスがまず一番にあげられていましたが、今では「自己免疫疾患」を原因とする説が有力です。
「自己免疫疾患」とは外部からの侵入物を攻撃する免疫システムが誤作動を起こし、自分自身の体の一部を攻撃することです。
円形脱毛症では免疫システムのTリンパ球が異物と間違えて毛根を攻撃し、それにより毛根が痛んで健康な髪が抜けてしまいます。
なぜそのような免疫異常が起こるか、直接の原因はまだ不明です。
円形脱毛症は他の自己免疫疾患、例えば甲状腺疾患、尋常性白斑、関節リウマチ、SLEなどを併発することが多くあります。
特に甲状腺機能疾患では8%、尋常性白斑では4%の人が円形脱毛症に悩んでいます。
アトピー素因
アトピー素因とは、アトピー性疾患(アトピー性皮膚炎、気管支炎、アレルギー性鼻炎など)を持っていることです。
円形脱毛症患者の40%以上がアトピー素因を持つと言われ、半数以上が本人もしくは家族にアトピー素因が認められるなど、深い関連があるとされています。
精神的ストレスによる影響
円形脱毛症の原因は免疫の異常、と言うのが現代の通説ですが、引き金になっている要因にストレスは欠かせません。
円形脱毛症になることそのものも大きなストレスですので、で悪循環に陥りやすく治療に時間がかかります。
遺伝的素因
円形脱毛症を発症した方の2割程度が同じ病気を抱える血縁者がいると報告されています。通常の発症率が1~2%であることを考えると遺伝的な素因は無視できません。
出産による女性ホルモンの変化
妊娠から産後にかけての女性ホルモンの変化も要因となります。
妊娠中通常の100倍にも増加した女性ホルモンは産後一気に元に戻ります。
女性ホルモンは育毛を促進する効果があることから産後3~4ヶ月は抜け毛が多くなります。
通常は全体のボリュームが減る産後脱毛が多いですが、このとき頭皮まであらわになる円形脱毛まで進行することがあります。
産後はホルモンバランスだけではなく、育児によるストレスや授乳による栄養の不足も原因と考えられます。
円形脱毛症の症状
多くは特に自覚症状がなく始まりますが、まれに痒みやヒリヒリ感を感じる方もいるようです。
脱毛した部の周囲の毛を引っ張ると痛みもなく抜けたら症状が広がっている証拠なので要注意です。
1カ所のみに発生する単発型は1年以内に8割ほど完治することが報告されています。
が、場合によっては次の段階の「多発型」に変化することがあります。
多発型は2カ所以上に脱毛部位が発生する状態で、見た目にも目立ってきますが、治療も2年以上と時間がかかる傾向があります。
さらに生え際や側頭部に蛇のように脱毛箇所が広がる「蛇行型」、頭部全体の髪が抜けてしまう「全頭型」、さらに頭だけではなく眉やまつげ、全身の毛が抜ける「汎発型」と進行していきます。
進行するに伴い治療に時間を要するため1人で悩まず早期に治療を開始することが大切です。
円形脱毛症で悩んでいる方は常に脱毛部分が大きくなっていないか、と強い不安を持つと思います。
脱毛部位の周辺の髪を引っ張って、痛みなく抜けるもしくは抜けた髪に毛根鞘(毛根のふくらみ)がついていない様なときは症状が進行している恐れがあります。
逆に、ひっぱてみて抜けない、抜けるとき痛みがある、抜け毛に毛根鞘があるような時は過度に心配しすぎないようにしましょう。
円形脱毛症に対する漢方治療
漢方で円形脱毛症の治療を行う場合、大きく分けて2つ。
体質的な要因に関するアプローチと心因的(ストレス)な要因に関するアプローチがあります。
体質的な要因としては髪に栄養を与える“血”に問題があると考えます。
“血”にため込まれた余分な熱や毒を黄連解毒湯などでデトックスし、栄養を豊富にする四物湯のような漢方薬を用います。
心因的な要因へは“気”に対する漢方薬を用います。
柴胡や桂枝、甘草などを組み合わせて自律神経を整えます。
髪の毛が生え替わるサイクルが整うまでは時間が必要です。
円形脱毛症の治療では飲み始めてもなかなか効果がでませんが、3ヶ月過ぎた頃から急に生え始めると言うことが多くあります。
また、良くなったからと急いでお薬を減量してしまうとまた再発することがあります。
じっくりと経過を見ながら治療計画を立てることが大切です。
円形脱毛症で悩む方へ
ストレスは円形脱毛症の引き金となります。
規則正しい生活、バランスのとれた食事、十分な休息は基本になります。
楽しんで出来るスポーツを趣味として持つのが一番良いですが、苦手なら時間があるときに軽いウォーキングやストレッチなどをするようにしましょう。
ミネラルは髪の毛を作るのに大切な栄養素です。
色の濃い食べ物、例えば海苔や魚介類など海産物、緑黄色野菜、赤身のお肉などをしっかりとりましょう。
再三になりますがストレスは敵です。
解決策がないまま一人で悩まないで専門家に相談しましょう。
早めの治療が早めの回復に結びつきます。
お一人では解決が難しいと思う方、ご不明な点がある方はぜひご相談ください!
(効能効果には個人差がございます。当内容は同等の効果を保証するものではございません。ご了承ください。)