チック・トゥレット症と漢方薬

「無意識に身体が動いてしまう」
「止めようと思えば思うほど症状が悪化」
「人前にでるときほどひどくなる気がする」
「人の目が気になって引きこもりがちに・・・」

チック症は本人の意思とは関係なく体の一部の速い動き(まばたきや顔をしかめるなど)や発声(咳払い・鼻を鳴らすなど)をくり返す疾患です。
小児や若年層から症状が出始めることが多く、人前に出ることが恥ずかしいと感じたり、人から誤解を受けたり社会生活に大きな影響を与えます。

目次

チック・トゥレット症とはどんな疾患?

チック症は本人の意思とは関係なく、体の一部を突然動かしてしまったり、発声をくり返すなどの状態が一定期間続く疾患です。

大きく分けて運動性チック症と音声チック症があり、その両方が高頻度で起こり慢性のものをトゥレット障害(症候群)といいます。

運動性チック症

まばたき、顔をしかめる、口をゆがめる、口を尖らせる、舌を突き出す、首を左右に振る、肩をびくっとさせる、すくめる、腕を振る・まわす、地団太する、跳び上がるなどの動きを本人の意思とは関係なく繰り返します。初発症状は、まばたきなど顔面に多く認められます。

音声チック症

叫ぶ、鼻を鳴らす、舌を鳴らす、風邪でもないのにせき払いをする、同じ言葉をくりかえして発現したりする、といった行為をわざとではないのに繰り返してしまいことです。
人によっては下記のような症状が現れ社会生活に影響を与えます。

  • 汚言症 (卑猥な単語や罵倒語などを言ってしまう)
  • 反響言語 (他の人のいった言葉などを繰り返す)
  • 反復言語 (音声や単語を繰り返す)

トゥレット障害 (ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群)

運動性チックおよび音声チックの症状両方が頻回に起こり、1年以上持続するものをトゥレット障害 (ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群)と言います。

トゥレット症は個人によって症状の重さは様々です。
ある人では症状が目立たないので外出できる、もしくは外出時は症状が我慢できるというケースもありますが、外に出ることが難しいような重い症状に苦しんでいる方もいます。
首の振りすぎで頸椎の骨を損傷した、尖ったもので目をついて失明してしまったという二次的な障害が起きることもあります。

チック症は医療従事者にもまだ十分に知られていないと言われています。
まばたきなどの単純チックは子どもの10人に1人くらいで経験すると言われていますが、複雑なトゥレット症については1000人中およそ3~8人くらいいるのではないかと言われています。
子どもの時にあった症状が成長とともになくなったり、また大人になってから再発したりするケースも多いため疫学的な正確な発生率はまだはっきりしません。

一般に運動性チックは4,5歳頃から起こり始めます。
一方、音声チックはやや遅く始まり、10歳頃をすぎると汚言症や反響・反復言語などの症状が現れることがあります。

チック・トゥレット症の原因は?

チック症を引き起こす原因は、十分にはわかっていませんが脳の中にある大脳基底核という部分が関係した、脳の機能と神経の問題と考えられています。
先天的な疾患なのかも不明ですが、若年層から症状が出る人が多くいます。

大脳基底核は、LD(学習障害)やADHD(注意欠如多動性障害)、強迫症などの障害にも関わる部分でもあります。
そのため、トゥレット症の方は、他にも何らかの発達障害や睡眠障害、自閉症などを併発する方が少なくありません。

チック症は声が出る、体がうごいてしまうという表面に現れている症状だけではなく、その内側に強い不安を抱えていることがあります。
人によっては自分の意に反してある考えが繰り返し浮かび、それによる不安を振り払おうと同じ行動を繰り返す強迫症を併発していることもあります。
その人に合わせた通り一辺倒ではない治療計画が大切になります。

強迫症障害についてはこちら

漢方のチック・トゥレット症治療

漢方薬ではチック・トゥレット症を「血毒」と「気滞」と捉えます。

筋肉を養うものは“血”です。
体内の解毒機能が低下し、その毒が血にたまると筋肉に異常な反応が起こります。
それが筋肉の過剰な収縮を引き起こし、体の反応や音声となって現れルと考えます。

血毒によるチック症では解毒機能を高める漢方薬を用います。
「黄連」「山梔子」で血の毒を取り除き、「芍薬」で筋肉の緊張をなだめます。

体の上部に症状が集まる音声チックやまばたき、顔をしかめるなどの症状は気の流れが上昇に集まり、滞った状態です。
「厚朴」で気の流れを整え、「鈎藤鈎」で熱を冷まします。

チック・トゥレット症のよくあるご質問

発症してから10年以上経過・・・治りますか?

期間が長ければ改善までにお時間はかかってしまいます。
ただ、10年以上苦しまれても症状が軽減された方はいらっしゃいます。

子どもでも飲めますか?

チック・トゥレット症のお薬は苦みもあるので飲みにくい、とおっしゃるお子様もいらっしゃいます。
効果が高いため煎じ薬をおすすめすることが多いですが、飲むことが難しい場合はエキス剤や錠剤へ変更することも検討します。
一緒にベストな治療を組み立てていきましょう。

チック・トゥレット症でお悩みの方へ

チック・トゥレット症の方について勉強している時、「やさしい無視」という言葉と出会いました。
症状がでているとき、周囲に何もしなくていいから、ただ温かい目で受け流して欲しい、ということです。
チック・トゥレット症で苦しむ方々がその疾患そのものより社会的な生き辛さを持つことに気づかされました。

1人でも多くの人が自分らしい人生を安心して歩けるために一緒この困難を乗り越えていきたいと思います。

ご不明な点があればお気軽にお問い合わせ下さい。 お問い合わせ

(効能効果には個人差がございます。当内容は同等の効果を保証するものではございません。ご了承ください。)

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