強迫性障害と漢方薬

「周りから変に思われたくないから、人と距離をおいてしまう」
「自分でも馬鹿馬鹿しいと思っているのに、やめられない・・・」
「不安が強くて確認ばかりして・・・いつも時間に遅れてしまう」
「親や友達に知られたくない・・・」

強迫性障害とは強い「不安」や「こだわり」によって日常生活に支障が出る病気です。
自分でもつまらないこととわかっていても、そのことが頭から離れない、わかっていながら何度も同じ確認を繰り返してしまうなど人により様々な症状として現れます。

目次

強迫性障害とは?

「ドアに鍵をかけたかな?」「鍋の火かけたままかも」と不安になって家に戻った、という経験は多くの人があるのではないでしょうか。
また、ラッキーナンバーや、縁起などにこだわることもよくあることです。

強迫性障害とは「不安」や「こだわり」が度をすぎて日常生活に支障がでることです。
本人も自分でもつまらない、無意味と思っていながらそのことが頭を離れず、何度も同じ動作を繰り返したりします。
意思に反して頭に浮かんで払いのけられない考えを「強迫観念」、ある行為をしないではいられないことを「強迫行為」といいます。
例えば、戸締まりや火の元を何度もしつこく確認する、身支度を儀式のように特定の手順で行うことにこだわったり、「手が汚れている」と不安にかられ、手荒れを起こすほど何度も手洗いを繰り返したり・・・

世界保健機構(WHO)の報告では、生活上の機能障害をひきおこす10大疾患の一つにあげられています。

国内ではどのくらいの割合で強迫性障害の患者さんがいるのかは明らかになっていません。
というのも、強迫性障害をただの性格の問題だととらえて受診をしないでいる人や、精神科を受診することにためらいがあって、日常の不便を我慢している人が多くいるのではないかと考えられているためです。

統計では日本の患者数は欧米の半分程度というデータはありますが、実際は同じくらいの50~100人に1人の割合と考えられています。

強迫性障害の原因とは?

発症には、性格、生育歴、ストレスや感染症など、多様な要因が関係していると考えられていますが、残念ながらその原因ははっきりとはわかっていません。

強迫性障害の症状・サイン

強迫性障害の症状は「強迫観念」と「強迫行為」の大きく2つに分けられます。

強迫観念とは、頭から離れられない考えのことです。
その内容が本人からしても「不合理」だとわかっていても、頭から追い払うことができません。

脅迫行為とは、強迫観念から生まれた不安にかき立てられて行う行為のことです。
自分でも「無意味」「やりすぎ」と思ってもやめられません。

具体的には以下の様な症状として表れます。

不潔恐怖と洗浄

汚れや細菌汚染の恐怖から過剰に手を洗い、入浴、洗濯をくり返したり、ドアノブなど不潔だと感じるものを恐れて触れることを避けることがあります。

加害恐怖

誰かに危害を加えたかもしれないという不安が頭を離れず、新聞やテレビに事件・事故として出ていないか確認したり、警察や周囲の人に確認することがあります。

確認行為

戸締まり、ガス栓、電気器具のスイッチを過剰に確認することがあります(何度も確認する、じっと見張る、指さし確認する、手で触って確認するなど)。

儀式行為

自分の決めた手順でものごとを行わないと、恐ろしいことが起きるという不安から、どんなときも同じ方法で仕事や家事をするようにこだわることがあります。

数字へのこだわり

不吉な数字・幸運な数字に、縁起をかつぐというレベルを超えてこだわることがあります。

物の配置、対称性などへのこだわり

物の配置に一定のこだわりがあり、必ずそうなっていないと不安になることがあります。

日常生活への支障は?

強迫性障害の症状は「戸締まりが気になる」「ラッキーカラーを選びたい」など、ある程度どんな人でも経験することだと思います。
「少し神経質なだけ」と「もしかしたらちょっと行き過ぎかも」の判断はとても難しいところです。

日常生活、社会生活に影響がでていませんか?

手洗いや戸締まり確認に時間をとられる、火の元を確認しに何度も家に戻るなどで結果約束の時間に常に遅れてしまい人間関係に支障をきたす、もしくは日々の強い不安や強拍行為にかけるエネルギーで心身が疲労してしまうなどは思い当たりがありませんか?

家族や周囲の人が困っていませんか?

火や戸締まりの確認を家族に何回もくり返したり、アルコール消毒を強要するなど、周囲の人を強迫観念に巻き込むケースも。
その結果人間関係がうまくいかないと感じていることはありませんか?

自分では「病気というほどひどくはない」と感じていても周囲の人が困惑している様子があるなら、専門家を受診してみることも大切です

強迫性障害の治療法

一般的には次の2つの治療法を組み合わせるのが効果的と言われています。

認知行動療法

「暴露反応妨害法」が再発予防効果が高く、代表的な治療法です。
患者さんが強迫観念による不安に立ち向かい、やらずにはいられなかった強迫行為をしないで我慢するという行動療法です。
例えば、汚いと思う物を触って手を洗わないで我慢する、戸締まりが気になっても引き返さず外出するなどです。
こうした課題をクリアすることで、不安感が弱まり症状が改善の方向に向かいます。

薬による治療

患者さんの多くが強迫症状や抑うつ、強い不安感があるのでます抗うつ剤のSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)で状態を安定させて、認知行動療法をとることが多いようです。
SSRIはほかの抗うつ薬に比べると、副作用は軽い物ですが、服用を始めてから体調がよくない気がするなど、不安があればすぐに医師と相談するようにしましょう。

何よりアドヒアランスが大切

アドヒアランスとは、患者さん自身が治療方針に納得し、自分で「治そう」と意欲を高めて治療に取り組むことです。
自分が不安に思うことなどがあれば積極的に専門家に相談し、納得して治療に踏み出しましょう。

漢方の強迫性障害治療

漢方では大きく強迫性障害を2つのパターンで捉えます。

戸締まりが気になって仕方ない(確認行為)、いくら洗ってもきれいにならない(不潔恐怖)、自分が誰かを傷つけているのでは?(加害恐怖)・・・
強い不安から来る自分でもありえない、とさえ思えるような考えがこびりついて離れない。
これは「水毒」、水の巡りの悪さと考えます。

こうしたケースでは「桂枝」「甘草」で陰陽のバランスを整え、「白朮」「茯苓」で余分な水を体外に排出します。

ある特定の数字や言葉にこだわる、物の配置にこだわる、ある手順を踏まないと落ち着かない(儀式行為)などの症状は「血毒」と捉えます。

血毒では過剰になった古い血をとりさり流れを改善する治療を行います。
「柴胡」「枳実」が滞りを改善し、「黄芩」が余分な古い血を取り除きます。

強迫性障害と向き合う方へ

強迫性障害は比較的お若い方に多く、また誰にでも起こりえる疾患です。
この疾患はとても病気と正常の狭間が曖昧で不安に感じられる方も多いと思います。

人生は「時間」だと思います。
あなたの大切な「時間」が思う存分あなたが好きなことができる「時間」であって欲しいと思います。
何かにこだわることが幸せな時間であればそれは全く問題ありません。
でもそれが不安や強迫観念から来るものであったら・・・?
あなたが幸せと感じる時間に、人生を費やして欲しいと心から思います。
ぜひ悩まれているなら一度ご相談ください。

お一人では解決が難しいと思う方、ご不明な点がある方はぜひご相談ください!

(効能効果には個人差がございます。当内容は同等の効果を保証するものではございません。ご了承ください。)

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